まばたき

雑記

幕開け

まがいなりにもちいちゃなころにピアノを習い、吹奏楽部に所属していたので舞台裏や舞台袖に触れる回数は舞台に立たない人よりは若干多かった。

 

舞台の空間が好きな人の中に、袖の静謐さや緊張感がすきだ、という人は少なくないんじゃないかと思う。

と書いておきながら大学時代の先輩ひとりとしかその話をできたことはなかったが。私はあの舞台の前の特別な時間がすきだ。肌に触れる空気の冷たさもすき。舞台の上で人は孤独なんだぞと言わんばかりだから。ああいう緊張感は生活になかなか発生しない。たのしいと思う。

 

パフォーマンスを届けてくれる存在は、そういう孤独を飲み込んで、観客に見せたい自分を演出してくれる。どれだけありがたいことかは、観客であれば大なり小なり感じているだろう。

 

昨日は坂本真綾さんのライブツアー2019「今日だけの音楽」東京1日目があった。

オーチャードホールなのでホールコンサートというやつ。

 

コンセプトアルバムのツアーとありとても楽しみだった、真綾さんはいつも自分の考える最高のセットリストで臨んでくれるので毎回コンセプトを明確に打ち出してくれるアーティストではあるのだが、いざ先行してアルバムを聴いた上で浴びる音楽はとても書ききることのできない多幸感と、寂しさと、優しさがあった。私は初日の座間が取れなかったので昨日がはじめてのツアー入りだった。

 

今日だけの音楽。

 

あらためて言われると、つい「わかってるよ」って言いたくなるくらい、音楽の持つ性質そのものであるが、音は今しか鳴り得ないのだが、アルバムを通して再構成されたライブにおいてその説得力はすさまじい。

ツアーの途中で、「明日(27日)もライブが予定されているが、私が死んだら今日で最後だ。真綾さんが風邪ひいちゃっても終わり。」と急に考え込んでしまった。当たり前に予定されてるわけじゃない。双方が落ち会わないとそこに音楽が鳴ることはない。

 

私がすきなアーティストたちはみんな個対個でいろいろを届けようとしてくれるのでいつも勝手に救われる。その都度拾えるものだけを大切に抱えて、「次」の約束を無邪気にかわす。

 

今を追いかけられることは幸せだ。生きているから見つめられるし、伝えられるし、泣くことも笑うことも手を振ることもできる。

できる精一杯で応援したいし、やりたいが尽きるまで活動してほしい。もちろん無理だけはしないでほしいし、待つこともできるので信じてほしい。

信じてもらえるように、できることをやる。観客のできる精一杯をやり続けようと思った。

 

 

あと10分で、今日の、今日だけの音楽がはじまる!たのしみ!